季節の行方
ひだかたけし
あくび一つしてみては
生の実感とやらを
噛み締める
この明るい昼日中、
ひっきりなしに白雲流れ
外気は熱波、うねりにうねり
私は不安と恐怖を抱え
青い空を眺めている
歪んだ視界に映るもの
ぱたんぱたんと倒れる街並み
色とりどりの花、花、花
まるで異郷にいるかのよう
私は今日に住み付けず
昨夜の悪夢を引きずり歩む
嘔吐しそうな胸の内
外は照り映え輝いて
青空燦々、銀色の
巨鳥が今日も
空を行く
やがて世界は熱波に覆われ
ひっそり咲く紫陽花の
艶やかな紫だけ
季節の行方を知っている