ワンノートサンバ
万願寺

星の形のいるかがいるようなところに住みたいってきみは言ってたね。そういうことを聞くたびにげぼでちゃう、と思っていた。きみが何か得体の知れないきみ特有のユーモアをもってしておそらくは希求した果てに選びとったことばが、わたしにはげぼでちゃうくらい相性が悪かった。ぐろてすくの最初の二文字をとってグロいという形容詞にしてもいい?答えはノーでも言います、グロいよ。星の形だなんてそんな、球だったり、輪がついていたり、そもそもガス状だったり、ともかく巨大で、まったくいるかの知的らしさがどこにもない。そういうの、我慢できなくて逆流性食道炎でした。でもきみのことばのつかみ取り能力ととても相性の悪かったわたしは、なんとなんと、二人三脚、一位でしたね。テニスのダブルスで負けたことはありませんでした。あなたが前衛、わたしは後衛、なんてそんなのどっちでもいいくらい、おそろしいくらい点が取れて。だからわたし達、フィジカルだけでお話していればよかった。道ばたにさいた菫の色を報告しないで、ただそれをちぎって持ってきて、この耳の上に差しておくれよ。いつもそう願っていたよ。げぼでちゃうから、おねがいだから、それ以上を、言葉にしないで。


自由詩 ワンノートサンバ Copyright 万願寺 2020-06-01 01:11:33
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