風爆
トビラ

なかった
なにもなかった

守りたい自分もなかった
守りたい誰かもいなかった

死んでもいい心情に
生きたい体が抗う
何の役にもたたない生に
居ていいという人がいる

青空ばかりが
強烈に降りてきて
諦めるには
救いが無さすぎて

耐える
絶えるまで耐える

将来なりたいものも
将来したいことも
なにもない
なんにでもなれるけど
なんにもなりたくない
なりたいと思えない

不幸を煎じ詰めた顔をする
そんな大人にはなりたくなかった
そうならざるを得ない未来を
予感すればするほど無力感が響く

春のゆるやかに増していく重力下
夏を
きらめきの爆発する夏を
目指して
駆り立てる自意識は過剰に
過剰に箇条書きする
花に鳴る合い言葉
洗練化
つなぎあわせ
先鋭化

原生運命を逆向きに
あらゆる辛苦を踏み台に
前に前に
振り切れるほど
前へ前へ


自由詩 風爆 Copyright トビラ 2020-04-23 06:35:48
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