窓の明かり
服部 剛

新型コロナに侵された日常を
静かに、掘り下げよう 
自粛する日々から
できることを、探りだそう

人類は、私は
〝初心〟を久しく忘れていた

ひとつ屋根の下 
三人と猫一匹で暮らす、この世の夢に 
素朴で温かな愛はある
(隣の部屋から、言葉を知らない八才の
 吾子あこは腹を空かせて、ああうう、と言う) 

今日も台所に立ち、夕餉をつくる妻が 
愛しい命の重さに疲れる前に
ヒーローのふりをして、隣りの部屋に姿を現す
私はひと匙の飯を、息子の口に運ぶ 

願わくば、令和二年の長い夜に
世の家々の窓の明かりが 
消えぬように 






自由詩 窓の明かり Copyright 服部 剛 2020-04-22 23:49:08
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