走る
ミナト 螢

繋いだ両手を離しても
鎖を引くように走るから
僕はひとりにはならなかった
何かを背負った人の宿命が
頬に当たる風で産毛を洗い
色褪せる前に揺れていて
君の存在が過去になるくらい
地平線をゴールにするな
汗がしょっぱく感じてしまうほど
鎖を握ったままだったね
苦しそうな顔を見せ合いながら
走るのは景色の方かも知れず
ビルの谷間に沈む夕陽が
僕の荷物を運んで消えていく
空は赤くなり寝不足だった


自由詩 走る Copyright ミナト 螢 2020-04-01 08:09:03
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