ヘヴン
ミナト 螢

記憶が胸を確かめるんだ
いなくなった後から
思い出すのは何故だろう
ありがとうとさよならを
並べてゼロにしたくはなかった
電子レンジの音が主張する
寂しさを幸せに変えられず
ガムシロップの蓋を開けると
君の野球帽に触れた気がして
指先がベタベタと汚れるなら
一緒に居たいの合図だと思う
狭くて笑える小さな世界で
君を見つけて僕も生きてゆく
例えばたんぽぽの文字盤に
枯れ葉の裏側に
クリスマスツリーの飾りに
打ち上げ花火の真ん中に
君がいることを忘れないでいる


自由詩 ヘヴン Copyright ミナト 螢 2020-03-29 21:36:10
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