それだけ近い
ふじりゅう

夜のセミは、あたかもうるさいように
僕と、遠く離れた君の見えない空気を
同時に吸いながら、夜景を眺める
一つだけ、約束をした手紙は
未だ、君を締め付けてはいないかい
雑草がサワサワ 近くに何が居る
古い鏡は、僕を写しても遠い景色へ、
くっきりピントを合わせ、遠く
アイスの当たり棒一本ぶら下げながらフラフラ
ガヂャガヂャ喧しい木漏れ日の外の
裏返ったセミ、そこだけはあたかもうるさい夜、
それだけは近い


自由詩 それだけ近い Copyright ふじりゅう 2020-03-21 18:01:30
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