気ままな指先
クローバー
1
救うという傲慢さで
正面から溶けてしまいそうな
邪魔くさい解釈を弄くって
弄んで、分解してくっつけて
ひっぱってひん曲げて
心臓の一番近くにぶら下がるブローチにしてやる
こっそりと火薬を仕込んであるから
死にたくなったらいつでも
救ってやる。
2
救えない神様が僕の隣で
誰のものでもない神様が僕の隣で
救わない神様がスクワットで
僕は何も救わないことを約束する
僕は誰も救わないことを約束する
僕は僕を救わないことを約束する
神様は隣に、いつも誰のものでもない
神様、あんたは救えない、誰も救えない
あんたはいつも誰のものでもないから
救うという意思を持てない。
3
(ここでもし、愛、と言ったなら
私は貴方を嫌いになれると誓います)
スタンドプレーに沸く
そんな熱じゃ、3分で食べものにならない
割り箸のような拍手に
正直、排水溝は気が滅入っている
トローチを噛み砕くのは止めなさい
それは、おいしいキャンデーではないのですから
そんなことされるために
生まれてきたのではないのですから。
4
やはり足りない、私には言葉が足りない
ノックせよ、我が空
ダイヤモンドの中心で息をしているようなもの
酸欠
ホシが白く降り積もる雪の花の桜の
約束の固ささえ、息の根を止める
綺麗なものでさえ、生き物を住まわせない
大事に思う、爪を噛み千切って
なんなんだと言うのか。
5
めはーっと叫んでありえない方向に首をひねる
驚異的奇跡を目の当たりにしているのだよ
まっしろ、理想と現実の狭間で消滅してしまう自己が
あるのなら、そいつこそ、あんたのあんたである所以
失せる瞬間にこそ、胸を掻き毟る
体内での息苦しさを
失踪している感情を、掘り起こしている。
だだ、枯れた井戸がある
そればかりだ。