パートⅡ(葬列)
竜門勇気
朝起きタバコに火をつけて
お手々が震えてさあ大変
真夜中枕で目を塞いで
朝までまぶたのうら見てる
しばらく会わない友達の
お顔を忘れてさあ大変
喋り出すまで赤の他人
靴紐触って涙出た
朝起き夜起き挨拶は
誰でもおんなじ言葉で返す
おはようおつかれ交代勤
眠らぬ機械が待っている
夜起きタバコに火をつけて
お手々が震えてさあ大変
昼間に電話が泣きわめく
寝ぼけた目をして夜を待つ
目覚まし止める神の手は
朝でも夜でも生きている
僕の哀れな目覚ましを
叩いて五分の猶予をくれる
誰かの奴隷でいたいのに
僕を人間にすんじゃねー
僕は君の人間なんかじゃねー
月や雲だらけの世界
人間なんかやれねーよ
人間なんかじゃやれないよ
やれねーってんだよ
僕は君らの何かにはなってらんねーから
他所でやれってんだよ
君は誰かの王様になればいい
僕は僕の王様で有り続ける
目覚めてタバコに火をつけて
お手々が震えてさあ大変
思わず笑って目を伏せる
震える電話を眺めてる
僕は奴隷でいたいけど
毎日奴隷がやってくる
新たな奴隷がやってくる
古いだけの奴隷が
新しい奴隷に繋がれ歩いてる
僕は倒れて眺めてた
僕の後ろの背の低い
奴隷がそのまま歩いてく
いつまでも続く葬列が
いつまでもこのままありますように
いつまでも続く葬列が
いつまでもこのままありますように