星祭り
丘白月

助手席に置いたバラが
なんだか君が抱いているようで
涙が溢れてくる

車の中にたしかに君がいる
くもったガラスに
君の顔がうかぶ

泣かないでと大勢の妖精が言ってる
数えきれない色が手をふる
花屋さんの明るく優しい灯り

バラの妖精が森へ案内する
星祭りの夜においでと言う
横で私も一緒よと聞こえた

飛んで行く星が降る森へ
妖精が踊る夢のような景色の中で
目の前で星が生まれた

いくつも星が生まれて
森のなかを漂っている
まるで魂のように

その一つが胸を通って抜けた
熱い想いのあやとりが
何度も繰り返されるる

君に逢えたんだね
いつか夢で君は言った
待っていると

綺麗なバラをありがとう
あなたは何も心配しないで
詩を書いているだけでいいの

目を閉じても溢れる涙
目を開けると明かりが消えた
花屋さんの前にいた

横に置かれたバラを抱きしめる
くもったフロントガラスの隅に
君か妖精が書いた文字が見える

すき・・・と
でもすぐに消えてしまった
涙のように流れて



自由詩 星祭り Copyright 丘白月 2020-03-18 22:23:40
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