梅の妖精
丘白月

一羽の鳥が
海をわたる
白梅の枝を咥えて

一つの花の
一つの種が
初めて見る森に宿る

一晩の雨が
根をつけた
風が根を強く伸ばす

白く小さく
可愛い花が
一人の魂に恋をする

毎日待った
毎晩夢見た
梅の妖精が大人になる

朝日の中で
散歩をする
愛した人を遠く見つめる

白い白い花が
赤く赤く熱く
紅梅の命が白梅に宿る

白い森が
紅白の山になり
いくつもの
ため息が生まれた


自由詩 梅の妖精 Copyright 丘白月 2020-03-14 19:48:05
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