冬の交差点で
丘白月

あなたを見送った交差点で
お揃いで編んだ手袋を
私は見つめる

あなたはもう手袋など
どこかへ置いて
私のことも忘れているかしら

青い光が
一緒に歩いた海と空を見せる

黄色い光が
綺麗だねと言った菜の花を咲かせる

赤い光が
夏の花火の記憶を映してる

別れてから気づいても遅いよね
どんなにさがしても
見つからない心ってあるよね

あなたの雪を踏む音が
いつまでも耳から離れない
大きな靴だった背が高いから

耳もとで妖精が
逢わせてあげると言った
空耳だったかもしれない

似た背中が私の横をすり抜けて
横断歩道を渡っていく
涙が三色に光って流れる

車のライトに照らされて
手袋に編み込まれた
あなたのイニシャルが見えた



自由詩 冬の交差点で Copyright 丘白月 2020-03-13 17:44:56
notebook Home 戻る