ステラの妖精
丘白月

花屋を覗いている子猫
少し曇ったウインドウを
手を伸ばして拭いてみる

拭いても見えないよ
少し開いた扉から
外に漏れてくる花の声

ステラの妖精が息を吹く
ガラスが透き通って
子猫の顔が映る

お友達になってと
子猫が妖精に言った
雪に残る足跡が凍ってた

ステラの妖精は
まわりのすべての妖精に
うなずいて扉の隙間を抜けた

子猫の鼻の先に止まって
お花がみんな友達よと
ステラの妖精が言った瞬間

光の波が扉を押して溢れた
子猫は光に溶けて
月まで妖精と飛んだ

夜空に子猫の過去が流れる
悲しい思い出を妖精が
捕まえて傷にキスをする

あなたに夢をあげるわ
暖かい光の中で
子猫は笑顔で眠った

妖精達は明日の友だちを想って
すべての人にそっと言う
おやすみなさい



自由詩 ステラの妖精 Copyright 丘白月 2020-03-12 14:10:53
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