サザンクロスの妖精
丘白月

満月が雲に隠れて覗いてる
でも隠し切れない光の雨が
流星のように夜空を照らす

くるくると花びらが
回転しながら降ってくる
星のため息のように静かに

雪が溶けた隙間にそっと
星の種を埋めていく
誰にも気づかれないように

朝日を浴びて芽を出し
鳥の声に葉を伸ばして
黄昏に蕾を膨らます

妖精が生まれた南十字星は
もうここからは見えない
遥か遠い昔に生まれて

二万六千年の周期を
見送ってきた妖精
また遥か未来に真上に見る

花は生まれ変わりを繰り返し
妖精に命をあずけて
行きかう人に愛を植える


自由詩 サザンクロスの妖精 Copyright 丘白月 2020-03-11 11:48:17
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