サザンクロスの妖精
丘白月
満月が雲に隠れて覗いてる
でも隠し切れない光の雨が
流星のように夜空を照らす
くるくると花びらが
回転しながら降ってくる
星のため息のように静かに
雪が溶けた隙間にそっと
星の種を埋めていく
誰にも気づかれないように
朝日を浴びて芽を出し
鳥の声に葉を伸ばして
黄昏に蕾を膨らます
妖精が生まれた南十字星は
もうここからは見えない
遥か遠い昔に生まれて
二万六千年の周期を
見送ってきた妖精
また遥か未来に真上に見る
花は生まれ変わりを繰り返し
妖精に命をあずけて
行きかう人に愛を植える