beautiful glider
ミナト 螢

柔らかい肌に触れる声は
心でカーテンを揺らして来て
余った風で話すような指が
ファスナーの位置を探そうとする
それはどこかで折れた翼を
支え切れない背中のワンピース
前にも後ろにも進めなくて
きっとどこかで値札を挟んだ
私の生き方を軽く見積もる
世界は確実に孤独な方が
寂しさを花瓶に飾れるから
美しいものだと信じて来たのに
誰かがそっと手を貸してくれる
一瞬の優しさに掴まれたら
ためらいもなく幸せに飛べる
夢を見る前にもう一度だけ
切れ味の良い鋏を探して
綺麗に値札が取れてしまえば
両手を広げて全てを愛すよ
振り向きもしなかった人にさえ
景色の一部に雑音を入れた
ドキュメンタリーで自分を伝える


自由詩 beautiful glider Copyright ミナト 螢 2020-03-05 17:56:59
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