難破船
ミナト 螢
雲が解けたら雨が降り
水溜りに映る逆さまの街は
さよならを出会いに変えて染まり
追い駆けても追い駆けても
きっと太陽は沈まないだろう
秒針が動く隙間を狙って
私の心はあなたを想い
夕立がひとつの恋を綴り
髪の毛に川を流していく
さよならを覆した船が
揺れるのは自分に酔っているから
オレンジの光を絞った胸は
帆が張るまで引き合っていた空に
ひとひらの手形を残して
相応しい合図で始まりたい
自由詩
難破船
Copyright
ミナト 螢
2020-03-02 07:37:22