友人
たもつ

 
 
窓の外に友人がいた
多分、窓などなかったのだ
お茶菓子も随分と出さなかったが
窓がなかったのだから
とても気は楽になっていく
何がそんなに友人なのだろう
適度なりに酒を酌み交わし
植物の栽培方法も嬉しそうに教わった
靴のサイズはほぼ同じで
他に比較するものはなかった
それでも友人という言葉を聞けば
十人以内に思い出すのに
そんなに友人がいるわけではなかった
生きることが得意で
生きることは大層に辛いと言っていた
いくつもの輪郭と色で友人
形になって、その後だよ
すべてが今日は言葉だった
崩れて何も残らない、と
手を取って笑った
 
 


自由詩 友人 Copyright たもつ 2020-02-20 19:23:04
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