灯篭
shell-lamb

よるのいろをした花は
すこしづつぶすぶすとちぢんでいきました
よるのいろをした花を
わたしはかってにあかりとりとよんでいました
帰り道にしなる枝はぬるい風を受けて
ぼうっとひかっているので
そうよんでいました
その花の名前をしらないわけではなかったのですが
サイクロペディアでかいだ香りとちがっていたので
わたしはあかりとりとよぶことにしました
レンガの道に
ぶすぶすとちぢみはじめたあかりとりは
ぱたりぱたりとおちていきました
おちるところを見たわけではありません
ただもう夜でもずいぶんあたたかいのです

あかりとりは
あかりをすかして
あかりをぬすんで
にげることのない
あかりは
ぶすぶすと
あかりとりを
たべていったんだと
おもいます

春は
いつも目には見えないので
まだぶすぶすといっている
あか茶色のあかりとりをよけて
レンガを踏んでいきます



未詩・独白 灯篭 Copyright shell-lamb 2005-04-09 21:35:48
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