学校の教科書には
こたきひろし

学校の教科書には書いてなかった事が
この社会にはふんだんに転がしてあって

それを意図的に転がしているのは
先に社会を歩いている大人たちでした

自分が足を躓かされたからという理由で
後から来るやつらにも同じ目に会わせてやろうという浅はかな魂胆が永遠に繰り返されているからです

人間なんてちっぽけな存在なんですよ
そして意地が悪い

私ばかりじゃない
人間嫌いが増えてしまうのは無理もないですね

カラスが鳴いているのか
哭いているのか

どうでもいいけれど
朝から気味悪いな

せっかく私の頭の中に詩がふってわいているというのに
邪魔しないで欲しいな

カラス
お前は見かける度にいつも貪欲で
その真っ黒な羽の色は好きになれないな

たまに道端に猫の轢死体を見つけると
お前はそのはらわたをくちばしでつついてたりするが
旨いのか

俺の父親は戦争に召集されて
戦場で餓死寸前にまで追いつめられて
死んだ戦友の屍の肉と血を
自分の生存本能に逆らえず
ありがたく頂戴したと聞かされた事がある

お陰で俺は生まれて来れたんだ
ありがたく命を頂戴したわけさ

それが命の連鎖なんだろ

カラスよ
お前も生存の本能に従って
猫の死んで残した肉をありがたく頂戴してたんだな
食物の連鎖ってやつか

猫を可哀想と思う気持ちといっしょに
自然界の過酷な現実がごった煮なった気分だったよ

教科書には書かれていない事が
ふんだんに転がしあるんだよな

学校に通っていた頃
俺はいつも不思議に思っていたよ
教科書なんて一時間もあれば読み終えてしまうのに
何で一年もかけてそれをするんだって


自由詩 学校の教科書には Copyright こたきひろし 2020-02-16 09:19:54
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