さん、らん、、、
岡部淳太郎
さん、らん、する、さん、さん、と降りそそぐ、ひかり
の卵、ひかりが、生み、落とす、きのうへの、あしたへ
の、記憶、あなたがいない、そのことのために、はつね
つする、記憶、、、さん、らん、する、さん、ぜん、と
かがやく、木陰のしたのめだたない、ちいさくひからび
た、へそのお、あなたが渡り終えた、橋の向こうで、卵
は散らばり、ほそうされていない道の、まだしるされて
いない、足あとのうえに、あなたは散らばり、、、とぐ
ろをまく、へびのように、卵は生み、落とされ、卵は飲
み、くだされ、そのようにして、ひかりは世界のあらゆ
る、片すみへと、さしこまれていく、、、さん、らん、
する、さん、いつ、する、ひかりの卵、あるいは、わた
しのうた、あなたの、うた、くらさのなかでひかる、こ
の苦しさよ、あかるさのなかでこどうする、このいたみ
よ、、、あなたは思い、だされるために、いまも、散ら
ばっており、わたしは思い、だすために、いまも、みず
からを、ばらばらにしている、、、さん、らん、する、
さかなは、つめたい水のなかで、いき、たえる、さん、
らん、された、卵は、世界のしりゅうへ、世界の、あら
ゆる水の、みなもとへと、散らばっていく、、、さん、
らん、する、さん、たん、たる、これらの軽さ、あなた
が、生み、落とした、わたしの水滴、いのちをわからな
くさせるために、ひかる、あなたの卵、わらい、さざめ
く、こどもたちの陰で、この世にまかれた、ひかり、、、
(二〇〇八年十二月)