雨上がりの空に
こたきひろし

雨上がりの空から雲が一掃されて
青空があらわれて
お日様が顔を出しても
美しい七色の虹が橋のようにかかるなんて
事はなくなってしまったな

子供の頃は頻繁に虹を見たような記憶があるのに

雨上がって空が晴れ渡って
太陽が顔をあらわしても少しも暖かくならない

二月
真冬の寒気は冷たい風になってこの身を容赦なく責め立てる

屋外の作業はそこにいるだけで尋常じゃなく辛い
じっと立っていたらそのまま氷の柱になってしまいそうだ

何でもかまわない体を動かしていないといられないのだ
最低賃金を少し上回る時給
それでも六十五歳になってしまった私には働かせて貰えるだけでありがたい

定年制のない仕事だから
このまま死んでも働いていたい
そうでもしないと生計が立ち行かない

若い頃はそれなりに稼げたが、今はその頃の半分にもならない
若い頃は休みが嬉しくて待ち遠しかったが、今は体を回し続けていないと、壊れてしまいそうな気がしてならない

休日が凶日になりかねないのだ
人間の体も車と一緒で古くなると部品が劣化してくる
十年十万キロ走行したら壊れるようにできてる
らしい

六十五年落ちの人間なんだから
とっくに働ける寿命は過ぎてるだろう

だからといって
スクラップにされてたまるか
スクラップになるわけにはいかない

年金だけでは足らないんだよ
貯金なんてないんだからさ

死んでも働いていないと
やってけないんだよ

あはん

なんて書いても
評価はされないけどな


何だよこれ?
年寄の泣きごとなんか聞きたくないんだよ
って思われるのが関の山さ

そんな奴等に言ってやりたい

その内に磨り減ってボロクソになるぜ
人身も人心だって


自由詩 雨上がりの空に Copyright こたきひろし 2020-02-09 07:17:34
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