唐田えりか
はだいろ

「寝ても覚めても」は衝撃だった。
新宿で、朝9時からの回を見た。
それまで、その年のベストはもう、「きみの鳥はうたえる」で決まりだと、
思い込んでいた。
でも、ぶっ飛んだ。
恋をするということは、狂うということなのだ。
そのゆきさきを、見届けることが、
恐ろしいと思えるほどに、
のめり込んだ。


唐田えりかは、名前は知らなかったけれど、
損保のコマーシャルで見たときから、好きだった。
声が好きだ。
くぐもった、心の入り口の透明な逡巡を響かせるような声。
東出昌大は、名前も知らなかったけれど、
かっこよすぎるほどかっこよいのに、
感情移入できる隙間が素晴らしい。


僕の一昨年のベスト1は、「寝ても覚めても」である。
(「万引き家族」は大していいと思わなかった)
去年は、あまり突出して良いとおもう作品はなかった。
二人の傑出した才能が、
またどこかでべつべつに、鮮やかに花開いているところを、
僕はきっと見てみたい。





自由詩 唐田えりか Copyright はだいろ 2020-02-01 15:42:30
notebook Home 戻る