残照
ひだかたけし

西の空が
赤銅色に燃え残り
薄暮が辺りを包む頃
俺は拳を握りしめ
一心不乱に進んでいく
胸の辺りに蟠る
抑えがたい不安感に
鼓動激しく息を継ぎ
夕闇の道を進んでいく

西の空が
漆黒に艶めき始める頃
夜闇の奥に胎動する
無数の襞持つ生き物が
白壁囲う匿名の
無機空間に息を吐く


自由詩 残照 Copyright ひだかたけし 2020-01-30 19:15:44
notebook Home