無題
おぼろん

戸外にいる気分を味わいたくって、
セブンイレブンから缶コーヒーを買ってきた。
ああ、街中には僕たちが一息つけるところなんでもうわずかしかない。
(そうでない人たちもいるのだろう)

君は君自身を取り戻したいと言って、泣く。
そんなとき、僕はどんな目をして君を見れば良いのだろう。
君は君自身を取り戻したいと言って、泣く。
それは、あの大きな空を取り戻したいと願ってのことなのだろうか……

でも、僕たちが後戻りはできないことを、皆が知っている。
もう、あの大きすぎる青空を取り戻すことは僕たちにはできない。
そのことは君が一番よく知っているはずで、
それだからこそ僕の前で泣いて見せたのだろう。

清らかな孤独の気分を味わいたくって、
セブンイレブンから、缶コーヒーを買ってきたんだ。
僕はやはり、僕自身からは離れれられないまま、
ただ君が泣いていたときの横顔を思い出していた。


自由詩 無題 Copyright おぼろん 2020-01-30 16:20:09
notebook Home 戻る