タピオカ論争
花形新次

風の啼く方へ
耳を澄ますと
それは風ではなく
死にかけたじいさんの呻き声だった

───一事が万事そんな感じだ

いつの間にか
線香臭い空気が
ジワジワ周囲に
まとわりつくようになって
俺もひどく歳をくったもんだと
愕然とする

自分が棺桶に入るまでに
あとどれだけ
この葬列に
並ばないといけないのだろうか
他人の死を見送るように見えて実は
己の死に行く順番を待っている
この葬列に!

いっそのこと
みんな消えてしまえばいい

俺は大量破壊兵器が欲しい
日本列島を全部
焼け野原にするだけの
強力な兵器が欲しい

「戦争のない時代に
生きる者は不幸だ」
と言って死んでいった先生!
あなたはこうなることを
知っていて
それを望んだのか!

俺は両手一杯に
大量破壊兵器を抱え
スクランブル交差点を
口笛吹きながら
駆け抜けた瞬間
赤いスイッチを押す

その姿を想像して

射精する











自由詩 タピオカ論争 Copyright 花形新次 2020-01-20 23:08:49
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