夜を歩く
立見春香

わだかまりが
嫌で
夜を歩くのです

わかってもらえない
プライドを捨てて
夜を歩くのです

すべてを終わらせるために
生きてきたわけではない

夜を歩いて
たどり着いたコンビニで
お弁当を買って帰るのです

すべてを終わらせるためには
死ねばいいのかしら?

そのお弁当の
鮭のしょっぱさに
むかしの母さんのことを思い出した

あの人が死んでも
すべては終わらなかった

なら、
私が死んでも
世界はなにひとつ変わらないのだろう

そんな淫猥で紫な空の下
別に死にたいわけではなく
ただただただただただ、夜を歩くのです







自由詩 夜を歩く Copyright 立見春香 2020-01-19 09:31:11縦
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