街路樹、街路樹
竜門勇気


君が僕を嫌っていることに気づいて
ニヤニヤとしていた

ずっと気づかなかったことだけど
それがわかると
不思議に思えた仕草や言葉が
当たり前のように思える

なにかに反射した夕暮れが
カーテンのてっぺんから天井に差し込む

なんだおめえも一緒だったじゃねえか
特別だってわかったふりをして
なんだかタネの割れた魔法みたいだ
きみが来るっつってた駅前で雨を見上げる

僕が君を好きだったってこと
嘘にしていいかい

ずっと気づかなかったことだけど
それがわかると
不思議に思えた仕草や言葉が
当たり前のように思える

なんだ俺も一緒だったじゃねえか
特別だってわかったふりをして
なんだかタネの割れた魔法みたいだ
君が来るっつってた駅前で雨を見上げる

君が僕を嫌っていることに気づいて
ニヤニヤしていた
雨粒がメガネに落ちてくる
どうしてこんなに生きづらいんだ?
どうして僕は君たちと違うんだ?

君が僕を嫌っていることに気づいて
ニヤニヤしていた
他の表情が作れない、君たちのルールで動けない
もしかしたら泣いてるように見えるかもしれないし
僕は実は街路樹だったのかもしれない



自由詩 街路樹、街路樹 Copyright 竜門勇気 2020-01-14 04:01:22
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