一人でも楽しい
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からからに枯れた紅葉が一枚、地面の少し上から降ってきて、ユニクロの入口に着陸した。木から落ちたのではないらしく、どちらかというと手品のように地面の少し上にパッと現れたらしかった。紅葉はからっからに枯れていて賞味期限切れの豚こまだった。ユニクロではチノパンを買った、カーキの。道すがら引込開閉器があって、それとその周辺の壁にはスプレーでよく分からん文字が落書きされていた。サイケな毛沢東もいた気がする。隣はおしゃれタルトのお店で入りたかったけれど、おっさん一人はきついで、やめた。スタバで抹茶フラペチーノをテイクアウト(これもまあまあきつい)、消費税は8%、飲みながらヨドバシで店員のべしゃりを聴く。ipadほしいしキャバ嬢になりたいなりたくない。どっち、なりたくない。飲み終えてカップをマックのゴミ箱にほかす、え?マルシャある。うわ、マルシャある。すごい、こんなところに。マルシャとは?マルシェ。マルシェとは?とにかく食べ物屋がたくさんある、中から蕎麦屋で肉蕎麦を注文、お、お、お、俺は、小綺麗な浮浪者、というセルフイメージが離れない。今日のお、お、お、俺は、なぜか自己肯定感が高い。蕎麦は甘めでした。いい雰囲気だな、このマルシェ。帰りの電車にて、隣のお姉さんは茶道の本をお読みになられ、窓には薄っすらと車内が写っていて、窓では車内と風景のマッシュアップが行われ、顔が建物と同じくらいの大きさで重なっている。橙の街灯と白い街灯が紅白の面持ちで、正月の終わりを密やかに彩っている。改札を出たところのコンビニでは、今週号の少年ジャンプが売られていて、今日は月曜日と見せかけて土曜日だった。


自由詩 一人でも楽しい Copyright mmnkt 2020-01-04 20:10:52
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