蝶々の羽
いのせんと


あなたの背中にくちづけて、温もり
こんなにも、こんなにも、近く
吐息、耳元に感じて
どうしようも、ないのです、と
唇は嘘をつけなくて
いっそう強く、求めてしまっているのです
想いはとめどなく、溢れてしまいそうで
いけない、と 制する理性など
欠片も、どこにも、有りえも、しない

羽、震えるたび
羽、羽ばたくたび
ちぎれ、ちぎれ、ちぎれ
あなたの腕の中、羽ばたくたび
醜く、ちぎれてゆき
空を飛び回ることなど、不可能だ

それでも良い
それでも良い

その腕に抱かれ
鼓動、吐息、温もり
感じられるのなら
空など
二度と

それを、罰だというのなら
望んで受けよう


自由詩 蝶々の羽 Copyright いのせんと 2020-01-04 13:47:13
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