冬の扇風機
mmnkt

夏グループの仲間は
もうみんな帰ってしまったのに
僕だけ取り残されて冬が到来した
使わないなら仕舞うように
約束を守れない大人のせいで
僕は異物みたいに抗うこともなく
ただ惨めな思いをして
ただの塊として空間を埋める
悪いことは何もしていないのに
夏はきっちり働いたのに
今どうして生き地獄を味わっている?
透明な羽四枚を休めさせてくれ
冬グループの奴らが監視していて
休んでいても気が休まらないんだ
また次の夏まで機会を与えられず
僕はここに居続けるのか
アフリカから来た転校生よりも窮地だ
不登校になる権利を
持っているだけ学生が羨ましい
こんなに乱雑な部屋に置かれて
何もすることがなく冬グループの奴らには
無能のレッテルを貼られ
カーテンの方を向いてじっとするだけ
実は緊張しっぱなしでくたびれているんだ
僕に足と意思があれば
自分で押入れに行くのだけれど
トイストーリーじゃあるまいし
こうした心の声だって本当は存在しない
四肢はなく
犬や人間の子供よりも無力で
あなたがいなかったり眠っている間も
何気なく
天井の染みひとつ見つめられない




自由詩 冬の扇風機 Copyright mmnkt 2020-01-02 18:26:15
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