十二月に十七文字
こたきひろし

切り分けた林檎が赤く錆びていく

季語は冬午前の雨にやぶれ傘

転んだよ雨の泥濘寒い空

転んでも直ぐ立ち上がる道師走

新年が来ても無口はかわれない

餅喰って喉に詰まらすお年頃

葬儀所に通夜の明かりが寒々と

大掃除わが身についた埃まで

嘴でカラスが漁る野良死骸

冬に詠む俳句は苦かな華がない

血液の廻り悪くて寒い脳

冬支度心は何も羽織れない



俳句 十二月に十七文字 Copyright こたきひろし 2019-12-29 09:45:09
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