しあわせ
たもつ



幸せだった
あなたも
わたしも
脊椎動物に生まれて

+

心臓が痒かったので
慌てて掻くと
僅かばかりの
生活があった

+

収穫を終えたばかりの
アーモンド畑で
轍を消して歩く
背表紙の無い絵本みたいに

+

幸せだった
余り物はいつも大切に持ち帰った
わからないことは後回しにして
セミの鳴いた夏も生きた

+

死んでいく

忘れていた
咳をすることも

+

信号機が傾いて
雨に似ていた
渡り廊下でキスをしたね
千年の昔に

+

幸せになることばかり考えていた
あなた、と、わたし、があればよかった
別れの言葉はお守りだった
世界に住み続けるための



自由詩 しあわせ Copyright たもつ 2019-12-26 12:34:35
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
アクロスティック