しあわせ
たもつ
幸せだった
あなたも
わたしも
脊椎動物に生まれて
+
心臓が痒かったので
慌てて掻くと
僅かばかりの
生活があった
+
収穫を終えたばかりの
アーモンド畑で
轍を消して歩く
背表紙の無い絵本みたいに
+
幸せだった
余り物はいつも大切に持ち帰った
わからないことは後回しにして
セミの鳴いた夏も生きた
+
死んでいく
朝
忘れていた
咳をすることも
+
信号機が傾いて
雨に似ていた
渡り廊下でキスをしたね
千年の昔に
+
幸せになることばかり考えていた
あなた、と、わたし、があればよかった
別れの言葉はお守りだった
世界に住み続けるための
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アクロスティック