ふわふわ
邦秋
線にならぬ点だけを描いて
帰る星さえ無くしている
コンパスの無い遊泳のような頼りない日々
半無重力の中で足を掛ける場を探して
風波に身を任せた軌跡は
のこの歯のように浮き沈んで
見えない糸を紡ぐのは複雑で難解という
事実だけはとても単純で簡単だけど
そっと浅く薄い円の中で
ずっと遠くに置いてきた座標を悔やんで
あぁ 泣き笑いして生きた日々は
溶けることの無い雪山の中
逆上がりしても戻れない
記憶の中の振り出しが霞んでいく
心の幹は回っている
スピードは時と共に増す
終いに向かう1°の傾きを感じる度に
細い芯でも倒れない独楽に憧れて
この行き場を失う魂が
混沌を生み出してこの身をふらつかせ
あぁ 幼な心を捨ててこのまま
今だけを着替え続けていく
芽吹いた場所すら見えぬまま
紺碧の空を仰いで浮かんでいる