いのIDIOTmethodうのいほう
竜門勇気


私に訪れたものは感覚の無為の実感であって、いかなるそれ以外の異観では無くて
実感として得られた私の感覚の消失が齎した空間を感じる気持ちでありました
高い窓などに顔を覗かせて不愉快な気分を空気に馴染ませ流していることこの時間は
何者にも替えがたい実感の時間であって何者かによって遮られることは耐え難い
例えば、すべてのこの星の生き物がその死に際に明るく輝くと仮定しても
太陽よりも激しい明かりに包まれて私は二度、まばたきをしてけだるげに眉をしかめる、
その程にしか心は動かされないし、歓心を誘うこともないのでした
冷たく肺に動く重たいヴァイオリンの音ならばあるいは目盛りをあまりに沢山刻みすぎたシリンダーの中のガリウムのように
ゆったりと優しくガラスの内側に伸びていったでしょう

すべての何かについて考えているときの心情はいつか思い出す時が来る異能の異邦である

また、これはあらゆる道を歩むときに見える他者の足跡であって彼らが、彼女らが私を知らない存在であることの証左である
なぜ、あなたはここに私が至ることを覚えなかった?足跡に足跡を踏み降ろす
何度も湿り、何度も乾いたパズルのピースは縁をすこし削り落として黙り込む
次は上手く合わせるのだ
そう祈りながら次の歩を進める
硝子でできているようだ、この足跡はまるで誰かに追跡されるのを拒絶しているようにすら思える
後ろを振り返ると踏みにじられた足跡がここまで並んでいて身震いをする
痕跡のどの一つにも優しさなど思い至らない人物が鼻息荒く地団駄を踏むように歩いてきたことがわかった
一つ一つの崩れた土の粒が私を責めているようだった
一粒一粒の粒子が口を歪めて罵倒しているのが見えたし、聞こえた
”なんてことだ!愚かなものはゆったりと歩く!俺らを痛めつけるのが愉悦の限りとでも言いたげたぞ”
私が赤面していても粒が口をつぐむことはない
”見ろ!愚かなものは恥じている!なぜだ?愚かであることを知らなかったからだ”

この空欄に於いて私は十分な素質を持たなかった
素質は無為を許さなかったので、その罪を投げ、その罰を振るい、狂った時計で時を聞きながらあとどれだけで開放されるか嘘っぱちを言いました

私に訪れたものは感覚の無為の実感であって、いかなるそれ以外の異観では無くて
実感として得られた私の感覚の消失が齎した空間を感じる気持ちでありました
高い窓などに顔を覗かせて不愉快な気分を空気に馴染ませ流していることこの時間は
何者にも替えがたい実感の時間であって何者かによって遮られることは耐え難い
例えば、すべてのこの星の生き物がその死に際に明るく輝くと仮定しても
太陽よりも激しい明かりに包まれて私は二度、まばたきをしてけだるげに眉をしかめる、
その程にしか心は動かされないし、歓心を誘うこともないのでした
冷たく肺に動く重たいヴァイオリンの音ならばあるいは目盛りをあまりに沢山刻みすぎたシリンダーの中のガリウムのように
ゆったりと優しくガラスの内側に伸びていったでしょう


自由詩 いのIDIOTmethodうのいほう Copyright 竜門勇気 2019-12-10 00:23:19
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