ミシガン・レリックス 3
AB(なかほど)



誰が作ったのか
何のため作ったのか
何故 贋物と判ったのか

話はつきないのだけれど
人形は人形
そんなに贋物よばわりされても
と照れ笑いをしているようで

  僕らの本物って
  僕らの真実って
  僕らの本当って
  胸の中にあるのかな
  記憶の中にあるのかな
  でも記憶ってあやふやで
  心だってふらふらで
  愛する気持ちだって急に冷めたりなんかしちゃって
  ああ でも
  握り締めたい石ころとか
  抱きしめたいぬいぐるみとか
  そんなものだって本当の記憶で
  小っちゃい真実だったんじゃないか
  机上の空論は楽しい
  それを笑って聞いてくれる優しい人が愛しい
  お父さんだったかお母さんだったか
  君も聞いてくれていた
  それだけでも僕にとっての
  真実の世界じゃないか

  あの日の

  あ、

あの日の
という言葉が増えて来ると
もう僕の記憶もおぼろげになっていて
それを不器用な手つきで
粘土で形づくってゆくように
誰かの記憶にしがみつきたがっているのだろう


  今日
  博物館に行ったよ

  そこに
  僕がいたよ




自由詩 ミシガン・レリックス 3 Copyright AB(なかほど) 2019-11-30 14:52:51
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