世俗的な汚物になっても生きているよ
こたきひろし

口で言うほど幸福にこだわってないよ
とりあえず眼に見えるものしか欲しくないからさ

振り返ればけっこう酷い目に会ってきたな
いちいちそれを文字にしたらきりがないし
思い出したくはないし

毎朝
洗面台の鏡を見るのが辛くなってる
情けない顔をしてるのさ
相変わらず不細工な顔は健在だしさ
女にもてる要素皆無だよ

風采のあがらないこの顔で今日も出勤して仕事しなければならいのさ
たいした稼ぎはないし遣り甲斐のある仕事をしてもいない
時間を売って労働力を売って、これって言う楽しみもよろこびもなく日がくれるのさ

実につまらない男だから、世の中の風はやたら冷たくて、やれ使えない役立たずだとか、スキルの向上がさっぱりあがらない奴だとか、陰で言われるだけじゃなくて、上司の機嫌が悪かった日には、暴言は吐かれる事だってしばしばある。

悲惨な人生のサンプルになりたくないが、なってしまっていた
一度そうなってしまうと、事態が改善される事はなく、よりいっそう悪い方向にエスカレートしていってしまうのだ

そんな訳で毎日が
地獄で観音様に会いたい気分になっているのだ

口で言うほど幸福にこだわってません
目に見えて欲しいものは沢山あるんだけども


自由詩 世俗的な汚物になっても生きているよ Copyright こたきひろし 2019-11-28 23:25:46
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