カナリアの唄
もっぷ
――あの娘(こ)本当は知っていた
自分が何処の子どもかを
知っていてそれで知らぬ振りして
今日まで精一杯誤魔化して
他人も自分も誤魔化して
そうしてお芝居続けていた
孤独にひとりで全てを演じて
そうしてついに誰もが気がつかず
幕を閉じ カーテンコールは無かったね
――あの娘 本当は知っていた
自分が人間の子じゃないって
知っていてそれで知らぬ振りして
今日まで精一杯装って
他人も自分も裏切らず
そうして季節重ねてた
孤独が好きよ が口癖で
周りもそれを鵜呑みにして
幕は閉じ カーテンコールすら無かったね
――あの娘 本当は知っていた
自分が何の子どもかを
ずっとずっと秘め続け でも
嘘に塗れ(まみれ)も疲れ果て
それでもこれが「幸せ」かしらと
信じてお芝居続けていた
いつかは下りる幕の下で
あの娘 ついに演じ切った
舞台は終わり そして
カーテンコールは無かったね
君への拍手 皆無だったね
せめて僕にできることは
君の本当の唄 歌うことくらい
あの亜麻色の唄 歌うことくらい
君が「舞台」で歌いたかった あの唄を
あの亜麻色の唄を 歌うことくらい ・・・