mmnkt

雨水の溜まったバケツに
虫がいた
夏の暑い日だったから
乾いていたのだろう
草で突っついたり
波を立たせて
私は遊んだ

次の日
虫は死んでいた
バケツの中で
私が遊ばず
外に出してやっていたら
小さな命に
申し訳ないと思った

またある暑い日
雨水の溜まったバケツに
別の虫がいた
これは望まざる事態なのだと
外に出してやった
土に降りた虫は
足をわずかに動かすばかりだった
もとより
長くないのかもしれなかった

次の日も同様に元気なく
数日後には消えていた
心配だから
また手紙でも送ってほしい

どうしないのが良かったのか
この気持ちを
どうしないのがいいのか
虫は(実験は)
こころという器官の手前に
さりげなく
問いを残していった


自由詩Copyright mmnkt 2019-11-26 19:13:58
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