言葉の旅、「良い」のボタン
邦秋

文学作品に触れようと思う人は、
知や感情に刺激を求めているんだと思う。

それはきっと、旅に出て、
見たことのない景色や
懐かしい空気に出会いたい感情に似ているんだろう。

その恐らくの一般論に当てはまりながら、
詩との出会いを楽しみに、
アマチュア作品が集まる場所を訪れる。

まず、人気の十篇を読み漁り、
続いて、それ以外の作品群へ進むんだ。


僕が求めているのは、

殺意が美しくなったり、
優しさが恐ろしくなったりする、
心を動かす言葉の魔法。

そして、
言いたくても言えない世界を描いてしまったり、
"普通"ではない感情の輪郭を象ってしまったりした言葉たちが、
未知の視界の景色を見せてくれる、
ゾクゾクする時間。


でも、

訪れた先にある言葉の羅列は
片想いの「君」への想いや忘れられない「君」への想いで
溢れて返っている。

きっと、この場にいる人たちのほとんどは、
恋に忙しいんだろう。


不幸なことにそんな言葉ではあまり心が動けない僕が、
稀にある胸を射る作品に出会えた時、
きっと、その機能が設けられた際に想定された以上の気持ちを込めて、
「良い」のボタンを押させていただくんだ。


自由詩 言葉の旅、「良い」のボタン Copyright 邦秋 2019-11-26 17:38:40
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