矢の如くにはあらずとて
坂本瞳子

うたた寝する夢を見て
いまだ眠りに就くことはできず
外出するでもなく
読む本も見当たらず
チャンネルを二三は代えてはみるけれど
落ち着くことはなく
ホットミルクを用意しても
ため息などついてみて
こんな夜中にできることすらないのかと
呆れ返ってしまう我が身の
口の端には涎が滴りかけていて
愚かしいことこの上なく
劣等感には苛まれるものの
嫌悪感はどこへやら
それ以上にもそれ以下にも
成すことはなく
ただいたずらに過ぎゆく時間の
なんと緩やかなることか


自由詩 矢の如くにはあらずとて Copyright 坂本瞳子 2019-11-21 00:51:35
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