追いかけてきたと思ったらとんでもねー速度で遠ざかっていった過去の話。
雨の音



永遠に会えないことを最近知ったんだ
不思議と悲しさは感じなくって
真っ暗な部屋でごうごうと音楽が聞こえてきたような気分になっていた

笑顔があって
潤んだ瞳があって
叫んだ唇があって
赤くなった耳があって

永遠に会えないことを最近知ったんだ
それで良かったような気になって
途轍もなくエゴイストである自分を知った気になったんだ

どんな気分だったろう
死を忘れるなとあなたには
よく呟いていたけれど
わたしが死んでも悲しむなと
教えてたつもりだったのに

冷たい炎が君の命の真っ白なところを
余さず舐め尽くしてしまった
こうして思うことが本当に
あなたのためになるのだろうか

喪った気分になってはいけない
とっくに失ってはいたのだから
そしてとっくに得ていたんだ
あなたのいないその先を

ああ 言葉にしたいのに
たったこれだけの事なのに言葉がない
散らかした小さな部屋を
ありがとうやさよならでは片付けられない

愛しく思っていた
あなたを消費する彼をとても憎んでいた
今となってはもう
ただただ過去という時間に隔てられた思い出でしかなくて

酒を飲もう
煙草を吸おう
緩慢な自殺と言われても
墓前には酒と煙が必要だから

忘れたくとも忘れられないあなたを過去形に貶めながら
そしてきっと来週誰かとSEXをしながら
とてもわたしは幸せだなんぞ思っているのだろう
それを残酷だと思うだろうか?

最後の顔も見れなかった
あなたの側を歩けなかったわたしだけれど
自分に関わるなと叫んで
あなたを外へ投げ出したわたしだけれど
涙をほんの一つだけ溢します
それだけは許してください


自由詩 追いかけてきたと思ったらとんでもねー速度で遠ざかっていった過去の話。 Copyright 雨の音 2019-11-18 05:49:28
notebook Home 戻る