うみの底
立見春香

珊瑚が恋しい

あの

海渡る風の音

心に響くまなつの思い出

珊瑚が恋しい

あの

海の家であった

水色ビキニの水着の女の子

珊瑚が恋しい

あの

ビーチバレーしてくれた

逆三角形の逞しい褐色のお兄さん

珊瑚が恋しい

あの

朝から手作りした

砂浜のパラソルの下のおにぎり

珊瑚が恋しい

あの

触れれば痛い気がする

人生ってなんなんだろうね

珊瑚が恋しいって

とくに

そういうんじゃないんだけど

なにもとくべつな欲もなく

ただうみの底にはあるはずの

珊瑚が恋しい



ああ、それにしても

珊瑚が恋しい




自由詩 うみの底 Copyright 立見春香 2019-11-16 06:23:40
notebook Home