カナリヤハレルヤ(翼を忘れたカナリヤ)
もっぷ

――雀をね 嫌ったカナリヤがいました

何故ってね 君に値段は無いだろう

僕には 値段があるからね

僕には お金を払ってくれるし

僕には 暖かな部屋もあるし



――雀 哀しい気持ちで聴いて

とっても月並みな唄を 歌ってみました

雀 とっても哀しい気持ちで

とっても月並みな唄を 歌ってみました

そっとそっと 寒さから逃れながら・・・



――雀をね 笑ったカナリヤがいました

何故ってね 君のはとっても月並みじゃんか

僕のは ヒトに好いてもらえる

僕のは 値段がつく唄だしね

僕には 安全な籠もあるしね



――雀 驚きの気持ちで聴いて

とっても月並みな唄を 歌ってみました

雀 とっても驚きの気持ちで

とっても月並みな唄を 歌ってみました

そっとそっと 天敵から隠れながら・・・



雀の 今日の精一杯

・・・明るくやっていこうと思ってた・・・



雀は 常に精一杯

・・・楽しくやってるつもりだった・・・



ふと考える 雀よ 雀・・・

ふと考える 雀の目にはひと滴(しずく)・・・

一生懸命考える 雀よ 雀・・・

一生懸命考えて 考えて 最後のひと滴・・・



カナリヤハレルヤ 今日も歌う

カナリヤハレルヤ 今日も籠の中

カナリヤハレルヤ テキトーに

カナリヤハレルヤ ヒトを喜ばす



ふと考える 茶色い子・・・

ふと考える 目にはひと滴・・・

一生懸命考える 小さないきもの・・・

一生懸命考えて 考えて 最後にひと滴・・・



――雀 哀しい気持ちで聴いて

とっても月並みな唄を 歌ってみました

雀 とっても哀しい気持ちで精々

とっても月並みな唄を 歌ってみました



――雀 驚きの気持ちで聴いて

とっても月並みな唄を 歌ってみました

雀 とっても驚きの気持ちで精々

とっても月並みな唄を 歌ってみました



そうしてふと 聴こえてきたのは

雀にだけ 雀にだけ 聴こえてきたのは

ハレルヤ ハレルヤ 明日は きっと

こころ ハレルヤ 明日は きっとね



その頃 カナリヤ ヒトに「ハレルヤ」

その頃 カナリヤ 暖かな中で「ハレルヤ」

その頃 カナリヤ 有頂天で「ハレルヤ」

ハレルヤカナリヤ 籠の鳥「ハレルヤ」



カナリヤハレルヤ カナリヤ救われる

カナリヤハレルヤ 救われるのはいつも僕

カナリヤハレルヤ 暖かなのもいつも僕

カナリヤハレルヤ でも籠の中



ハレルヤ ハレルヤ 雀に ハレルヤ

聴こえた? あれは・・・

――雀は ちょっとだけ不思議そう



ハレルヤ ハレルヤ 君に ハレルヤ

聴こえるのは・・・ あれって・・・

――天使たちの歌声 そうだよ雀



君のために ハレルヤ今日も

君のために ハレルヤハレルヤ

雀は とっても驚いて

最初は辺りを見回して・・・



天の果てにやっと 見つけた

神さまの 呼ぶ声

「おいで おいで 哀れな小鳥」

「道中気をつけ おいで おいで」



雀は とっても魅力的なその誘い・・・



断った 断った きっぱりと 断った



雀は 神さまの最後のお慈悲・・・



断って 断って きっぱりと 断って



今日の 自由を知る雀は

明日にも 自由を信じている

今日の この幸知る雀は

明日にも この幸信じている



雀がね よく考えて 考えて

出した 結論・・・

雀はね 晴れのハレルヤより日常(ひび)選んだの

雀はね ハレルヤ歌わなくても歌えなくても



雀 賢く選んだ道 自由・・・

危険がいっぱい 寒さも凍えも

いつもびくびく いつもきょろきょろ

それでも選んだ道は 自由・・・



――キットいつまでも わからないだろうね

ハレルヤカナリヤハレルヤ 今日も

キット気がつかずに ハレルヤ今日も

保証されるのは ゴハンと暖かさ

だから カナリヤ大満足

だから カナリヤいつまでも

いつまでも 知り得ないそれは 自由

翼ある 同じ鳥なのに・・・

翼を忘れたカナリヤだけど ハレルヤ ハレルヤ

今日も疑い知らず 今日も疑い知らずで

ハレルヤカナリヤ カナリヤハレルヤ・・・!




自由詩 カナリヤハレルヤ(翼を忘れたカナリヤ) Copyright もっぷ 2019-11-11 16:07:13
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