自分史(音楽事務所勤務時代10 ー ベルリン・フィル)
日比津 開
在職中最大のイベントは、クラウディオ・
アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦
楽団の招聘、発売だった。
世界最高峰のオーケストラの公演は、多く
のクラシックファンから注目を集めるため、
即日に短時間でチケットは完売することは必
至で、いかにスムーズに混乱、トラブルなく
発売することが課題だった。
公演を告知すると、会員はじめお客様から
数え切れない問い合わせがあり、対応に追
われた。発売方法やチケットの配券をどこに
何枚するのかといった問い合わせ内容で、中
には電話で1~2時間いろいろと細かな質問や
注文をしてくるお客様もあり、受け答えに非
常に神経を使い、本当に疲れた。新人、女子
社員では難しいお客様の対応も変わってあげ
たりしたこともある。
枚数制限をしたり、電話予約受付だけにし
たりして、発売当日は開始から30分ほどで売
り切れ、その後にも1日中電話は鳴り続け、
お詫び、説明をしていったことを覚えている。
クラシックの公演では数少ない超人気公演で、
オーケストラの招聘にあたっては多額の費用
がかかり、S席2万円などのチケットだけの売
上だけでは足りず、スポンサーを付け補った。
社員もこのコンサートはさすがに公演中に
手が空いているときでも聴けないため、僕は
愛知県芸術劇場のオープニング記念公演のチ
ケットを名古屋の主催者に頼み、フィアンセ
と東京から聴きに行った。関係者なので、席
は10数列目のセンターの最高の席を用意して
くれて楽しめた。
残念ながら僕はベルリン・フィルを実演で
聴いたのはこの1回だけとなっている。ウィ
ーン・フィルの来日公演は何回か聴き、世界
の一流オーケストラではドレスデン国立管弦
楽団、ゲバァントハウス管弦楽団、パリ管弦
楽団、クリーブランド管弦楽団などの公演を
聴いている。
このほか会社が招聘したオーケストラは、
フィルハーモニア管弦楽団、フランス国立管
弦楽団、オスロ・フィル、ベルリン・ドイツ
管弦楽団をはじめ数え切れないくらい仕事で
聴いている。オペラ劇場付のオーケストラは、
プライベートでウィーン国立歌劇場管弦楽団、
ボリショイ歌劇場管弦楽団を数回聴いている。