見えない蜘蛛の糸
佐白光


 トイレの中であれこれと

 考え事などしている時でした

 蜘蛛が目の前にスースルリと

 下降してきたのでした

 名前も解らない小さな おとなしそうな蜘蛛でした

 息を殺してジッと見ていると

 一瞬止下降スピードが遅くなり

 「おじゃまします」と感じたのです

 床に降りて姿が見えなくなるまで

 踏みつけないように動かづに

 蜘蛛の糸は目を凝らしても見えません

 糸につかまり逃げ出す考えは諦めました

 

 

 

 


自由詩 見えない蜘蛛の糸 Copyright 佐白光 2019-11-10 02:15:02
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