秋月夜
トビラ

聡明な月明かりに照らされて
抒情が三番ゲートを離陸します

ホワイトライトの街明かり
滑走路にして飛び立って

神話の住まう星座たち
星図に道を定めたら

たばねた祈りを動力に
さめない夢を燃料に

明けない夜を行く
エアロプレイン

たましいを形に明瞭に
計器のゆらぎに目をくばせ
見えない未知を視認して
レバーを微調整する
星月夜

優しい光の乱反射
懐かしい歌が渦を巻く
疾走する慕情をふりきって

冴えわたる秋の夜を行く
コーンフラワーブルーの詩情

遮る二項対立を爆撃し
境界に並列する彼方と此方

花の組成を機体に刻み
夜空の先に進路をとって

朝霧に包まれる最果てに
息を吐いて着陸します


自由詩 秋月夜 Copyright トビラ 2019-11-09 14:27:14
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