記憶のぼろ切れ
こたきひろし

思いでの切れはし集めて並べたよ
ボロボロになった古い写真みたいに

今朝は青い空に白い雲が散らばっていて
実に清々しい気分なんだ

仕事中なんだけどさ
爽やかすぎて
仕事に身が入らないよ

爽やかすぎて
生きているのさえ
止めたくなるよ

物流センターの敷地内から
はるか遠くに筑波山が見えるのさ

気持ちいいな
屋外の一人作業だから
誰にも気兼ねなくてすむのさ

倉庫内はピッキングピッキングで
沢山のパートさんが黙々と働いているから
外で働いているお爺ちゃんになんて
興味も関心もありませんって
言う空気でいっぱいな訳


お爺ちゃんが心筋梗塞で倒れたとしても
誰も気づいてくれないけど

それも自由なんだって思ってるよ

思い出って言っても切れはしだから
ひとつに
繋ぎ合わないよ

今日は何だか金木犀の香りがしてくるな
隣の工場は相変わらずもくもと煙りがあがってるのにさ
金木犀の香りが負けず劣らず
してくるのさ


自由詩 記憶のぼろ切れ Copyright こたきひろし 2019-11-09 11:13:26
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