漂流電波
ミナト 螢

海は大きな口を開けてるけど
吐き出せずにいる心を見せて
行ったり来たりする波のように
永遠の中をこだまするもの

近づいて見えすぎる現実や
遠去かり見えにくくなる未来を
真ん中で教える距離にいようと
僕たちずっと言葉を頼った

ポストみたいな玄関の窓を
扉にできない理由を探して
ふたりの間を流れる季節が
地雷を踏んでも会いに行きたい

星々を結ぶ線があること
そこを飛んでる電波の力で
繋がったままの誰かのメロディ
壊れやすいからそっと包んだ

あの人はきっと家を目指すため
いくつの角を曲がっていくのか
折りたたむ時間が街を消しても
君の存在に気づけるのかな

声を聞いたら安心できるのに
耳たぶに触れて冷たく感じた
本当は何も知らなかった癖に
帰れない僕は言い訳が欲しい


自由詩 漂流電波 Copyright ミナト 螢 2019-11-08 06:30:41
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