Powdery Snow
ミナト 螢

少し大きめの靴を選んだ

踵の余った場所に降る雪が
歩くたびに近付いて離れて
どこかで諦めた夢のように
形はないけど青い影を踏む

擦り切れるような傷を持っている
足首みたいに貼るものがあれば
心も温かく守られるのに

黙ったままでも話をしようと
痛みを押さえて動いてくれる

冷たい癖に熱くなる掌
握ってみないと分からなかった
開いた時に何かが出てくる
そんな魔法も一緒に解けるなら

気まぐれに近いジャンケンの後で
オブラートを飲む街の景色が
吐き出した息を数える人に
口付けを交わし鳥肌を立てる

靴紐が遊びそっぽを向いた
仲良くなるように結び直して
震える指先に作る棺が
僕を運んで闇に消えていく

少し小さめの傘を忘れた


自由詩 Powdery Snow Copyright ミナト 螢 2019-11-02 06:27:47
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