Powdery Snow
ミナト 螢
少し大きめの靴を選んだ
踵の余った場所に降る雪が
歩くたびに近付いて離れて
どこかで諦めた夢のように
形はないけど青い影を踏む
擦り切れるような傷を持っている
足首みたいに貼るものがあれば
心も温かく守られるのに
黙ったままでも話をしようと
痛みを押さえて動いてくれる
冷たい癖に熱くなる掌
握ってみないと分からなかった
開いた時に何かが出てくる
そんな魔法も一緒に解けるなら
気まぐれに近いジャンケンの後で
オブラートを飲む街の景色が
吐き出した息を数える人に
口付けを交わし鳥肌を立てる
靴紐が遊びそっぽを向いた
仲良くなるように結び直して
震える指先に作る棺が
僕を運んで闇に消えていく
少し小さめの傘を忘れた