マニュアルに(間に合わないかも)
アラガイs
度重なる衛星の事故や不具合から自動運転への信頼が揺らぐ。応急処置として国は主要な幹線道路網にチップを埋め込んだが、大幅な上限速度の規制によって道路は常に渋滞していた。車の中はリビングになり、目的地に辿り着くまでにはひと眠りもできる。しかしあまりにも遅いノロノロ乗車に飽き飽きしていた国民から声は徐々に拡がった。。民間の宣伝広告から抜粋「運転する楽しみを我々から奪うな」。待ってましたとばかりに、とあるメーカーの広報に注目が集まる。我々は水陸両用はもちろん低空で空を飛べる万能型自動車の開発に成功した。既に試運転の段階は終えており、翌年度からは量産化体制の準備を整え限定車種から販売も始まります。(八千万から一億円くらいまでの価格を予定)
(いいなぁ、ねぇ、あっちゃんは今度家族連れで月に旅行に行くんだって!第三セクターのクレーターにあるアベノホテルだよ。いいなぁ。。この間まで深海生物を眺めに10日間も海中ホテルで遊んでたのにね。北海道からシャトルに乗って空に浮かんだ月面エレベーターに乗り込むんだよ。費用は一人一千万円だって。ねぇ、ママ、家にそれくらいのお金はないの?)
そろそろおまえのマスクを交換しようとおもうよ。だって三千年も同じアタマと顔のままじゃ、もう飽きて当然だろ?
眼も新しい高感度のヤツに入れ換えないと、画面から送られてくる光の密度が捉えられない。量子ウイルスも日々進化するからさ。今度は天の川の中心にあるとてつもない明るい画像なんだからね。あの辺りは壮大な宇宙の洞窟と砂粒のような星星で満ちてるんだ。
胴体だけは五人目だけどね。いや、ハハハ、機械のクローンに対して五人目もないか。笑。五回目かな。
明日は光量子計算のテストあとメビとデートがあるから、正確に場所の移動を頼むよ。ミスターダンディーNo.5
一日が十日と朽ちていく
躰の内側からきりきりと音が聞こえて、きっと断末魔の叫び声だろう。
痛みも決まったように長く続けば次第に慣れてくるものだ。
これで眼まで開かなくなったら先生にお願いしようと考えています。
モルヒネでアタマがやられた。って、きみはそう伝えてくれればいい。
ここまでよく耐えてきたよ。そう思えば何もない人生でも生きてきてよかったと
、それだけ伝えてくれればいいのです。
明日はわからないさ。誰にも。
わからないから、ここまで命を見捨てずにこれた。
身近に感じる、遙か彼方に旅立った人たち
たぶん画面のあなたへ、また、
、とは、もう言わない。
じゃあ、おやすみ。